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東日本大震災から2年。
ビッグデータが語るYahoo! JAPANの「あの瞬間」

2011年3月11日、日本を揺るがせた東日本大震災。あれから早くも2年がたとうとしています。
今回の「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」では、東日本大震災時にYahoo! JAPANで記録されたにもかかわらず、 今まで公開することができなかった多くの興味深いデータを通じて、当時の日本全域や被災地の状況をさまざまな角度と視点で改めて振り返ってみたいと思います。

東日本大震災から2年がたって

2013年3月11日で、あの震災から早くも2年がたとうとしています。日々新たな出来事が誕生する世の中で、時間の経過と共にこの出来事に触れたり思い返す機会が少なくなりつつあります。
「東日本大震災」の検索数の推移を見てみると

東日本大震災での検索数推移の図(指数)

資料:
「Yahoo!検索」データ

地震などの大きな災害が発生した時か、過去の大震災の節目の時に検索数が増えますが、全体的にみるとなだらかに減少を続けていることがわかります。
検索をするという行為が、知りたいという欲求による行動とするならば、検索数の減少は関心度の減少であるともいうことができるかと思います。
そこで震災から2年目の今、Yahoo! JAPANが持つビッグデータからあの瞬間を振り返りましょう。

PVが激増した関東、激減した被災地、
東日本大震災のもう一つの側面

東日本大震災発生当時の被災地とそれ以外の地域の違いを如実に物語る、Yahoo! JAPANの2つのデータがあります。
一枚は震災を挟んだ「関東」のアクセスページビュー(以下、PV)推移、そうしてもう一枚は「被災4県(岩手・宮城・福島・茨城)」のPV推移です。

東日本大震災後、関東圏ではアクセスが急伸した

関東圏におけるPV推移の図(全デバイス、ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

一方で、被災4県ではアクセスは大幅減という状況

被災4県におけるPV推移の図(全デバイス、ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

被災4県からのアクセスは3月10日と比較すると12日は半分以下まで落ち込んでおり、停電などの影響でまったくネットを利用することができなかった、もしくはネットで情報を見る余裕さえなかった様子がうかがえます。
一方、関東のPV推移はというと、むしろ日を追うごとに大きく増加しました。いったいなぜ関東からのアクセスは増えたのか? そこについては後ほど解説したいと思います。

続いて、被災地の中でも特に数字の影響が大きく表れた「宮城県」について、さらに詳しく見て行きましょう。
次に紹介するのは宮城県のPV推移です。

宮城県は更に著しくアクセスが激減

宮城県におけるPV推移の図(全デバイス、ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

この推移を見て、「あれ、3月11日のほうが12日よりもPVが多いのは変なのでは?」と疑問を抱いた人がいると思いますが、3月11日の地震発生時間である14時46分までは普段と変わらぬ利用があり、その数字が反映されているためです。
上記で紹介した被災4県のグラフと比較しても、いかに宮城からのアクセスが震災後に大きく減少したのかがわかります。

そして、それら震災前と震災後の4日間のアクセスPV数変化を都道府県別に表したのが以下の図です。

震災日の前週と比較しても、東北および茨城は軒並みマイナス
特に、宮城は前週の三分の一、岩手は約半減、福島は三分の二に大幅減

都道府県別のPV変化の図1(指数:震災後4日間PV計÷前週4日間PV計×100、ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

被災地の激減の一方でアクセスが伸びたのは東京と神奈川。
中国以西では宮崎、沖縄を除き変化は小さい

都道府県別のPV変化の図2(指数:震災後4日間PV計÷前週4日間PV計、ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

被災4県および停電被害が広範囲におよんだ東北からのPVが激減し、関東・東海・近畿・北陸からのPVは普段以上に急増する一方、ほぼアクセスが変わらない県も散見されるなど、日本全体で俯瞰(ふかん)してみると場所によってかなり傾向に違いがありました。とくに震源地から西に行けばいくほどPVはそれほど変化がありませんが、宮崎・沖縄のみは大きく増えているあたり非常に興味深い動きとなっています。

消費どころではなかった当時の日本

Yahoo! JAPANはポータルサイトとして、数多くのサービスを持っています。そしてそれら一つ一つを細かく見ることでビッグデータ分析のひとつとして活用することが可能です。

次のグラフは、Yahoo! JAPANのサービス群別のPV推移比較をしたものです。

ニュース系、地図や乗換情報、トップページのアクセスが伸びた一方、
買物系サービスは低迷

サービス群別PV変化の図(指数%:震災前(4〜10日)との同日比)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

これを見ると、Yahoo! JAPAN全体のPV推移に対して、Yahoo! JAPANトップページやニュース、地図系が非常に大きく伸びています。これは地震や津波だけでなく、そのあとに続いた原発の問題や輪番停電などの影響が大きく、常に最新の情報を確認するためや、輪番停電の区域を確認するためにアクセスが増えたと思われます。逆に「Yahoo!ショッピング」や「Yahoo!オークション」といったサービス群はPVが大幅に減少しており、震災後は購買行動を控えた様子を見てとることができます。しかも、減少幅は2週間たっても100まで戻ることがなく、震災が消費者の行動に長期間にわたって大きな影響を与えていたことがわかります。

さて、その中でも日本全体でみた時に特徴的な分布となった「ニュース」と「地図、乗換情報系」のサービス群について詳細に見て行きましょう。

まずは「ニュース」系サービス群の都道府県別PVです。

ニュース系の伸びは福島を取り巻くエリアが中心

ニュース系サービスにおける都道府県別PV前週比の図(指数%:震災後4日間 vs 前週4日間:ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

震災前後4日間の比較で全地域184という非常に高い伸びをしめしましたが、さらに詳細にみていくといくつかのポイントに気が付くと思います。まずは、宮城県を除くと被災地域からのPVも100を超えているという点。停電被害もそうですが、震災や津波・原発の問題もおさまっていない中で被災地域がニュースなどの情報はネットを通じて積極的に取得していたと考えられます。2つ目は関東、またその近辺の県は突出してアクセスが多いという点。これは上記でも関東からのPVが震災後に増えたという話をしましたが、地震・津波に加えて東京電力で実施された輪番停電および福島原発に関する情報が求められた結果、関東を中心に数字が大きく上昇したものです。さらに中部より西側の地域では前週比で大きく伸びているが、地域差があまりない、という点もポイントかと思われます。

「地図、乗換情報系」も同様です

地図や乗換情報は、特に首都圏および北海道、北陸で大幅に伸長

地図、乗換情報系サービスにおける都道府県別PV前週比の図(指数%:震災後4日間 vs 前週4日間:ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

輪番停電などが実施されたことで実施地区を調べたいニーズがあったことや、首都圏の交通網が非常に乱れたことにより乗換情報が非常に多く利用された影響がこの都道府県別PVからわかります。

震災から2週間後も被災地からのPVは戻らず

先に紹介した都道府県別PV変化などからもわかるように、全国的には震災後はPVが増加するという傾向にありましたが、被災4県の推移は震災から2週間が経過しても100の水準に戻ることはありませんでした。特に宮城県に関してはその傾向が強く出ていました。

宮城は被災直後に激減するも、2週目に被災前の80%までは回復。
ただし3月末でも90%程度だった

地域別PVの震災前週比推移の図(指数: 震災前週3/4〜10の同曜日=100、被災4県と宮城はログインユーザーベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

被災4県全体では、2週目に入って震災前に近いレベルに回復

被災4県におけるPV推移の図(全デバイス、ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

日本全体では3週目に入ると100を切る日もあり、少しずつではありますが平静を取り戻してきた様子もありましたが、被災4県の減少は続いたままで、特に減少幅の大きい宮城県では、2週目の平均が81、3週目の平均が88と、ほかの被災4県に比べても震災の影響が大きく長く続いたことがわかります。

しかし、宮城だけをみると、2週間でやっと90%程度まで回復というレベル

宮城県におけるPV推移の図(全デバイス、ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

災害時におけるスマートフォンの重要性

続いてはPCとスマートフォンとケータイという、デバイス別での違いについてみて行きたいと思います。
デバイスによってPVの動き方に違いがあるのかどうかを比較・検証したのが下の図になります

全国的にみても、震災後に最も利用が活発化したのはスマートフォンだった

デバイス別PVの震災前週比推移の図 (指数: 震災前週3/4〜10の同曜日=100)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

PCのPVに比べてケータイが、ケータイのPVに比べてスマートフォンが大きく上回る結果となりました。PCのアクセスももちろん増えていますが、いつでもどこでも電波が入ればPCに近い形で情報を入手できるスマートフォンが、災害時にいかに力を発揮するかを裏付けるデータと言えるかと思います。

地域別にみると、PCからのアクセスは、東北と北関東で軒並み大幅に前週割れ

PCにおける都道府県別のPV変化の図(指数:震災後4日間PV計÷前週4日間PV計×100、ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

ケータイは宮城、岩手、福島、青森、山形、茨城が前週割れ。
関東から北九州までが伸長の中心

ケータイにおける都道府県別のPV変化の図(指数:震災後4日間PV計÷前週4日間PV計×100、ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

スマートフォンからは、震災後4日間でみると宮城のみが前週割れ。
北海道、青森が大幅伸長

スマートフォンにおける都道府県別のPV変化の図(指数:震災後4日間PV計÷前週4日間PV計×100、ログインユーザベース)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

特にスマートフォンは被災地においても宮城県を除き100を超える伸びを示しており、PCが使えない状況での情報収集の強い味方になったのではと考えられます。
またスマートフォンは震災発生から20日経過しても大きな伸びを継続しつづけました。

さらに甚大な被害を受けた宮城県において、デバイス別にPVを見てみたことろ、意義深い気付きがありました。

宮城では、なかなか回復しないPCに対して、スマートフォンは3月15日に
震災前の水準を超え、ライフライン化していた

地域別PVの震災前週比推移の図(指数: 震災前週3/4〜10の同曜日=100)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年3月データ

3月12日にはPCはなんと震災前週を100とした場合、14へと大幅な減少をしました。また、PCは3月末になっても84までしか戻りませんでしたが、スマートフォンは驚くことに3/15の時点で既に100を回復していました。さらに注目しておきたいのが震災当日の3月11日にもスマートフォンのみが100を大きく超えている点です。震災発生時刻が平日昼間と言うこともあり、もっとも身近な情報取得手段だったのではと考えられます。PCによるアクセスが難しい中、スマートフォンがライフラインとして重要な役割を果たしていたことは、特にこの宮城のデータが示す結果からみてとることができました。

被災地からのPVが元に戻ったのはいつか

全国のPVに占める被災3県のPV比率は、PCで震災前の最大64%まで減少しましたが、それはいつ100に戻ったのでしょうか?
その推移を示したのが下の図になります。

被災3県のPVの全国比推移の図(指数:被災3県PV÷全国PVの2/06週の値=100)

資料:
Yahoo! JAPAN社内ログデータ 2011年2月〜7月データ

全国のPVに占める被災3県のPV比率は、PCで震災前の最大64%まで落ち込むものの、翌月には約95%まで回復、7月にやっと震災前の比率になりました。この震災がどれほど甚大であったかがよく理解できます。そして注目したいのがやはりスマートフォンの推移で、月を追うごとに対全国比で数値を伸ばし続け、PCやケータイが100に近づいて行く一方でスマートフォンはその差を広げ続けました。被災地におけるスマートフォンの役目は全国からの利用以上に重要な役割を果たしていたと推察されます。

最後に

「Yahoo!検索スタッフブログ」のほうでも震災から半年後に「東日本大震災で被災地の人は何を検索したのか」という記事を寄稿しており、検索ワードの変化はこちらを読んでいただければと思います。

復興に節目や期限はありません。今後も長く長く続いていくことになります。
今回の「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」で当時の様子を改めて整理・分析することで、今なお復興に取り組む被災地および今後起こりえる災害の課題解決の一助になればと考えおります。
また、Yahoo! JAPANでは「復興支援東日本大震災」のページを通じて引き続き復興支援事業に取り組んでおります。

「Yahoo! JAPANビッグデータ」でも、今後もさまざまな分析と発見を発信して行きたいと考えておりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。